taiyoの映画感想ブログ

映画の感想を気ままに載せていく

映画『その男、凶暴につき』:北野武映画の原点にして伝説

「何もやってないのか。じゃあ俺も何もやってないだろ」

 

どうも、映画ファンの皆さん!

今日も今日とて映画について語りましょう。

 

上記セリフは映画冒頭、主人公我妻(北野たけし役)がホームレスに暴行を働いた中学生に対してセリフ。

 

主人公は目的のためなら手段を選ばない、とんでもないやつだとすぐにわかるシーン。

この時点で面白いだろうと予感させてくれる素晴らしい映画です!

 

今回はそんな映画その男、凶暴につきについて感想レビューしていきます。

それでは!

 

 

北野武記念すべき映画監督デビュー作その男、凶暴につき』(1989年)は、

暴力描写の生々しさと、独特のユーモアが光る作品です。

この映画は、北野映画というジャンルを確立したと言っても過言ではありません。

この記事では、物語の詳細、キャスティング、そして注目のシーンについて深掘りしつつ、

笑いと哲学の交錯する魅力を解説します。

 

https://eiga.com/movie/37573/

 

ストーリーの詳細な流れとキャスティング

物語の主人公は、暴力的で規律無視の警官我妻諒介(北野武

その破天荒な行動と、犯罪者に対する容赦のない姿勢から、周囲に恐れられています。

ある日、我妻は薬物絡みの事件を追い始めますが、事件は意外な方向へと進展していきます。

 

キャスティング も非常に豪華。

北野武自身が演じる主人公の冷徹さを際立たせる一方で、白竜岸部一徳といった名優たちが、独特の存在感を放っています。

それぞれのキャラクターが物語にリアリティを与え、北野映画ならではの世界観を構築しています。

 

北野武映画の魅力と『ソナチネ』との違い

その男、凶暴につき』は、北野武監督の映画の中でも特に暴力描写が直接的。

ソナチネ』のように虚無感哲学的テーマが前面に出ることはなく暴力が物語の核として描かれています。

 

また、コメディ要素がシリアスな展開に挿入される」の取り方も特徴的。

ソナチネでは「静けさ」が緊張感を生むのに対し、本作ではその静けさが突然の暴力で破壊されることで、観客に衝撃を与えます。

 

車で犯人を追いかけるシーンの絶妙な「間」

犯人を車で追い詰めるシーンは、映画の中でも特別な瞬間

車で轢いてしまったかもしれない…?」と思わせる微妙な間が一つまみのある意味、お笑いの間を創り上げています。

 

緊張の中に生まれる笑いは、観客の感情を揺さぶり、ただの暴力映画とは一線を画します。北野監督の天才的なセンスが光るシーンの一つです。

 

夜の街で白竜とすれ違うシーン

暗い夜の街を歩く中、白竜演じる犯人とすれ違うシーンは、観る者の注意を引きつけます。

一見、何事もなく通り過ぎるものの、少し経ってから気づき、我妻が突然走って戻る展開は、緊張感の中にも微妙なユーモアとリアルを感じさせます。

 

このシーンでは、キャラクターの直感的な動きが描かれており、北野映画のリアルな演出の一端を垣間見ることができます。

 

夜の街を引いた絵で撮るシーン

夜の街を俯瞰するように撮影されたカットで、我妻が突然通り魔のように背後から刺されそうになるシーンは、観客に不安感を与えます。

 

この「引いた視点」のカメラワークは、北野映画の特徴の一つ。

観客を客観的に状況を見せることで、緊張感と不意打ちの暴力性を強調しています。

この一瞬の映像美と恐怖の融合は見逃せません。

 

ロッカールームでの犯人とのやり取り

警察署のロッカールームで、我妻と犯人が静かに向き合うシーン

この場面では、暴力的な緊張感が充満しつつも、妙に淡々とした空気感が漂っています。

また犯人にナイフを意識的に使用したくなるような、我妻の状況づくりは必見!

ものすごい心理的な駆け引きが静かに行われていきます。

 

北野映画特有の「間」の取り方が、暴力だけでなく心理的な駆け引きをも際立たせています。観客は何が起きるかわからない不安と緊張に飲み込まれるのです。

 

トリビアや小ネタ

監督デビューの経緯:当初、深作欣二が監督を務める予定でしたが、降板したことで

北野武が代わりに監督に。これが結果的に「北野映画」の始まりとなりました。

タイトルの由来:英題は「Violent Cop」。直球すぎるタイトル海外でも話題になりました。

暴力の描写劇中の暴力シーンは、北野武が即興で考えたものが多く、脚本には書かれていない場面が多数あります。

 

ラストシーンの意味や考察

ラストシーンでは、あっという間に命が次々と散っていきます。

この結末は、「暴力の果てには何も残らない」というテーマを象徴しています。

 

そして新たな人物がその立場へ変わりはいくらでもいる、世界は変わらない

「暴力」はなくならないことも同時に表していると感じます。

 

観客によって解釈が分かれる部分も多いですが、この無機質な終わり方が映画全体のトーンと完璧にマッチしています。

 

まとめ:暴力とユーモアの見事な融合

その男、凶暴につきは、北野映画の出発点として今なお高く評価されています。

暴力的でありながらユーモラス、そして哲学的でもある本作は、何度観ても新しい発見があります。

 

北野武の監督としての才能を目撃できる作品

暴力描写とユーモアの絶妙なバランス

北野映画とは何か」を体感できる一本

 

まだ観ていない方は、ぜひこの傑作に触れてみてください!

 

おわり